顧客にこんな兆候が現れたら気をつけよう

売掛金の不良化を防止するために、経理として次のようなところをチェックしましょう。

 

売掛金不良化のチェックポイント

(1)入金遅れ
(2)支払サイトの延長
①支払期日の延長
②先日付小切手の振り出し
③手形決済への変更
④手形のジャンプ
⑤振り出し銀行の変更

(3)登記情報からわかる兆候
①商業登記簿でわかる兆候
②債権譲渡が登記されていないか
③不動産登記簿からわかる兆候

(4)決算書からわかる兆候
1.決算書の基本チェック事項
①純資産が少なくないか
②赤字が続いていないか
③売上高が大きく減少していないか
④借入金が急増していないか
⑤税金の滞納がないか
⑥営業キャッシュフローの赤字が続いていないか

2.決算書を分析してわかる兆候
①流動比率
②当座比率
③自己資本比率
④借入金月商倍率
⑤売掛債権回転期間
⑥在庫回転率
⑦営業利益に比べて営業キャッシュフローが少なくなっていないか


(1)入金遅れ
遅延がたとえ1日であっても、決められた支払日が守れないのは資金繰りが悪化していることを表している。
入金金額が請求額より少ない場合は、もっと深刻。
すぐに得意先に連絡をとって、不足分の代金の支払いを催促するとともに、その際の相手の話しぶりから資金繰りの悪化状況を予測する。

(2)支払サイトの延長
①支払期日の延長

売掛金の決済について、「翌月末日のところ、翌々月の末日に延期してほしい」など支払期日の延長の要請がないか

銀行からも借り入れることができない場合、支払いを遅くして対応するしかないため、要注意。

②先日付小切手の振り出し
小切手の振出日を、実際に振り出した日よりも先の日付にして振り出す「先日付小切手」を受け取った場合、

得意先は相当資金繰りに詰まっていると思って間違いない。

③手形決済への変更
支払方法を銀行振込から手形にしてほしいと相談を受けた場合、

得意先はかなり資金繰りに追われていると警戒したほうがよい。
手形にすれば、数ヶ月延期することができる。

最近は不渡りの危険があるため、手形に依存しないように転換する会社が増えている名影、あえて手形に切り替える会社は、それだけ資金繰りに余裕がないといえる。

④手形のジャンプ
手形のジャンプとは、手形を振り出した相手に対して、不渡りになるのを避けるため手形を取り立てに出さないように要請し、支払期日を数ヶ月先に設定した別の手形を渡すことにより手形の決済日を延長してもらう。

手形のジャンプは、資金繰りがかなり厳しくなった際に緊急措置的にとられる手法。
これが行われると倒産の危険性が非常に高まっているといえる。

⑤振り出し銀行の変更
手形については、振出銀行をチェックする。
振出銀行が以前と変わっている場合、銀行がその会社の業績悪化を懸念にて取引を停止したことが考えられる。

3)登記情報からわかる兆候
登記情報はコンピュータ化されているため、法務局へ出向くことなくインターネット上で登記内容を確認することができる。

①商業登記簿でわかる兆候
法務局の商業登記簿には、設立日、本店所在地、資本金、役員など、会社の多くの情報が登録されている。

頻繁に本店移転や役員交替を繰り返している場合や、本店所在地や役員が最新になっていない場合、業績悪化を疑う必要がある。

②債権譲渡が登記されていないか
「債権譲渡」が登記されている場合は要注意。

債権譲渡は、銀行や取引先が債権を保全する目的で登記するもの。

ただし、債権譲渡は、通常の登記事項証明書には記載されず、債権譲渡登記の登記事項証明書を取得する必要がある。

③不動産登記簿からわかる兆候
得意先の本社その他の主要な土地・建物が売却されている場合、資金繰り悪化の兆候と見ることができる。

担保設定の状況も確認。
会社が銀行から融資を受ける場合、所有不動産に担保を設定する。倒産直前の会社は、担保設定が集中している傾向がある。
抵当権者に金利の高い金融業者等があった場合は、かなり危険な状態にあるといえる。

(4)決算書からわかる兆候
会社法では、債権者から決算書の開示を請求された場合、その企業は決算書を開示しなければならないと規定されている。

1.決算書の基本チェック事項
①純資産が少なくないか
純資産はいわば企業の蓄え。自己資本ともいう。
豊富な蓄えがあれば短期的な業績悪化にも十分に対応可能。
純資産がマイナスの状況を「債務超過」という。

そのような状況になっていれば、いつ倒産してもおかしくない。

②赤字が続いていないか
赤字が3年も続いていれば、非常に危ない状態といえる。
よほど純資産が豊富か、親会社の存在がある場合を除き、危ない状況といえる。

③売上高が大きく減少していないか
売上高が5%から10%程度の減少であれば、原価の削減や経費の節減で対応可能かもしれないが、20%以上下落している場合は、その程度の対策では対応できない。

④借入金が急増していないか
設備投資などのために長期借入が増えるパターンは事業を運営していくうえでは必要なため、異常とはいえないが、それでも利息だけでなく、元金返済による資金繰り負担が重くのしかかる。

設備投資など資産の増加を伴わない借入金が増加している場合は危険。

⑤税金の滞納がないか
貸借対照表の負債の部の「未払法人税等」や「未払消費税等」に当期分以上の残高があれば、税金を滞納している。

「預り金」も要チェック。
源泉所得税や住民税の残高も通常納付分を超える残高があれば、それらも滞納していることになる。

「未払金」「未払費用」もチェック。
なかに社会保険料の滞納分がないかもチェック。
税金や社会保険料を滞納しているということは、かなり資金繰りに苦しんでいることになる。
税務署等が売掛金や預金を容赦なく差し押さえることもある。

⑥営業キャッシュフローの赤字が続いていないか
営業キャッシュフローは、日々の営業活動から得るキャッシュの増減を示す。営業キャッシュフローが赤字であれば、会社は借入金の返済や新規の投資が制約され、資金が減少していることが少なくない。
営業キャッシュフローの赤字が連続すると、資金が行き詰まり倒産となる。

2.決算書を分析してわかる兆候
①流動比率
会社は赤字でも、資金繰りさえ順調であれば倒産しない。

会社の状況を判断するには、まず短期的な支払いをまかなう十分な資金があるか否かを分析することになる。
この短期的な支払能力を見る分析値が「流動比率」。

流動比率=流動資産÷流動負債 で表される。

流動資産が流動負債の何倍かを表すが、1年以内に現金化される流動資産が、1年以内に支払い期限の到来する流動負債を上回っていればひとまず安心。

②当座比率
流動比率には、棚卸資産や前払費用など100%換金性のない資産も支払原資として含まれる問題がある。

不良在庫が増えても流動比率は上昇してしまう。

そこで、企業の短期的な安全性をより正確に判断するために、これらの換金性の低い資産を除外して計算した「当座比率」がよく使われる。

当座比率=当座資産÷流動負債 で表される。

当座資産とは、現預金や売掛債権、有価証券など、流動資産のなかでも特に換金性の高いものに限られる。

③自己資本比率
長期的な安全性を判断する分析値。
純資産の大きさが重要だが、それを数値で示したのが「自己資本比率」。自己資本比率=自己資本÷総資本(負債+純資産)で表される。

純資産は返済義務はないが、負債(他人資本)はいずれ返済しなければならない。返済義務のない自己資本が多いほど資金繰りが安定しているといえる。

自己資本比率は業種により適正値は異なるが、一般的な平均は20%程度で、理想は40%といわれている。

④借入金月商倍率
借入金も適性な金額であれば問題はないが、過剰な借入金は倒産の予兆といえる。
借入金の適性度の目安を表す分析値が「借入月商倍率」。

借入金月商倍率=借入金÷月商 で表される。

つまり、借入金が1ヶ月の売上の何倍かを表している。
業種で異なるが、目安として借入金月商倍率が6ヶ月を超えると倒産の危険水域に入っていると判断してまちがいない。

平均的な売上高経常利益率の会社でも、月商の6ヶ月以上の借入金があると、支払利息で経常利益が吹き飛んでしまう。

⑤売掛債権回転期間
・売上高に比べて売掛債権が過大になっていないか

⑥在庫回転率
・売上高に比べて在庫が過大になっていないか

 

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