社内レートの違いで利益は変わるのか

社内レートは会社ごと決められると聞きました。

社内レートの決め方で、利益が変わってしまうのか疑問に思った新人と部長のやり取りです。

見てみましょう。

 

当社は日本の会社であるが、海外へ輸出したり、海外から輸入したりして外貨で商売をします。

また、日本の企業間でも外貨でやり取りする場合もあります。

 

外貨で受けたり、外貨で支払ったり、外貨のまま会計ができればよいのですが、必ず円に換算する必要があります。日本の会計の通貨単位は円が原則なんです。

 

外貨を円に交換するレートは日々変動しており、取引の都度、その日の為替レートで円に換算してもよいのですが、会計が煩雑になりますのでたいていは社内レートというものを使います。

 

社内レートの決め方はさまざまで、直近の一定日のレートや、過去一定期間の平均レートを使う場合やその月の初日のレートを使ったり、3ヶ月ごと、半月ごとなど、会社ごとに期間を定めて使用します。

 

しかし、社内レートはあくまでも便宜上のものであり、実際に取引をした時のレートと異なることは珍しくありません。

 

ここで疑問点が出てきます。

 

新人

社内レートは会社が決めるということは、その決め方によって計上する売上額または仕入額が変わってしまいますね。

 

部長

そうだね。

当社は毎月社内レートを定めていて、月の初めの為替レートがその月の社内レートになる。

同じ取引額で、同じ為替レートの時に取引を決めたとしても、異なる売上額を計上することになる。

 

たとえば、次のように取引額が同じで、その日の為替レートも同じものがあったとする。

4月10日(当日為替レート110円)売上高10万ドル

5月5日(当日為替レート110円)売上高10万ドル

 

しかし、4月1日の社内レートが105円、5月の社内レートが112円だっとしたら、
4月の売上は10,500,000円となり5月の売上は11,200,000円となる。

 

新人

それなら売上の場合、社内レートは円安の社内レートの月にあげた方が得になりますね。

 

部長

いや、そうはならないのだ。

 

会社はたいてい1年ごと決算がある。当社の決算は12月末だね。
決算時点での外貨建資産は、決算日の為替レートで換算し直す必要がある。

 

新人

では、決算日の為替レートが100円だとしたら、4月の売上は10,000,000ということになり500,000円減ってしまうのですか?

 

部長

いや、換算し直すのは、貸借対照表にあがる項目だけで、損益計算書の方は換算し直すことはない。

 

新人

では、売上は減ることはないのですね。安心しました!

 

部長

売上高は減ることはないが、何か忘れてないか?

売上高があがる時には、売掛金が一緒に計上される。
その売掛金は貸借対照表項目だから、決算日までに残っていればその日の為替レートで換算される。

そして、その差額は為替差損益という科目で決算上、損益計算書に載ることになるのだ。

 

たとえば、4月10日の売上と5月5日の売上が、両方決算日まで回収されずに売掛金として残っていた場合、

4月10日の売掛金は、10,500,000円 だが、決算日の為替レートは100円だから
換算し直して10,000,000円となる。

よって、500,000円の為替差損が計上されることになる。

 

一方、5月5日の売掛金は11,200,000円だが、決算日の為替レートは100円だから換算し直して、10,000,000円となる。

よって、1,200,000円の為替差損が計上されることになる。

 

決算時の損益計算書では次のようになるね。

4月10日の売上

売上高 10,500,000円

為替差損 500,000円

差引  10,000,000円

 

5月5日の売上

売上高 11,200,000円

為替差損 1,200,000円

差引  10,000,000円

 

結局、社内レートがいくらでも決算では最終利益は同じことになる。

 

部長

次のような図をイメージしておくとよいよ。

 

これより、社内レートの違いで最終利益はどう異なるかを見てみる。

次のように社内レートが異なる2つの取引がある。
どちらも、売掛金を回収した時の為替レートは105円で、
買掛金を支払した為替レートは100円とする。

①社内レート 112円(売上・仕入)
回収レート 105円
支払レート 100円

②社内レート 105円(売上・仕入)
回収レート 105円
支払レート 100円

 

①の場合

販売時の社内レートが112円のとき、

回収時の為替レートが105円だったら

112円で回収すべきところを、105円でしか回収できないのだから、損失になる。

 

加えて支払時の為替レートが100円だったら

 

買掛金は112円で支払うべきところ、100円で済んだのだから利益になる。

よって、売掛金の方で▲7円となり、買掛金の方で+12円だから、合計+5円となる。

 

②の場合

販売時の社内レートが105円のとき、

回収時の為替レートが105円だったら

105円で回収すべきところを、105円で回収したのだから損益はゼロとなる。

 

加えて支払時の為替レートが100円だったら

買掛金は105円で支払うべきところ、100円で済んだのだから利益になる。

 

よって、売掛金の方で±0円となり、買掛金の方で+5円だから、合計+5円となる。

 

①の場合も②の場合も、為替差損と為替差益の合計は+5で同じ。

わかったかな?

 

新人

はい、わかりました。

でも、前払金の取引がありますが、この場合どうなるのでしょうか?

部長

そうだね。中国との取引は前払金を支払って、翌月出荷になったりするね。

当社は出荷基準だから前払いをした月と出荷した月、つまり仕入計上する月が異なってしまう。

そこに為替差損益が発生してしまうね。

それは、また明日教えよう。

 

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