為替の評価替えにおいて知っておくべきこと

どれだけの為替リスクにさらされているかはエクスポージャーを確認します

そのエクスポージャーの算定にはまだ売上、仕入計上されていない受注残、発注残も含んで計算すべきことを先のブログでお伝えしました

為替リスクにさらされている量を認識する方法

今回は財務担当者が為替差損益を報告する際、気を付けるべきポイントをお話しします

次のような外貨建債権債務になっているとします

グレーは会計データより抽出し、点線は取引成立しているがまだ売上計上されていない受注残です

9月外貨建債権債務

為替の影響を見たいので、額は1$としています

この場合為替リスクにさらされているエクスポージャーは$1です

借方側が多いので1円円高になった場合には1円の為替差損が発生します

よって、次の図のように借入金を1$してこのエクスポージャーをゼロにしました

為替リスクをヘッジするには為替予約をする方法のほかに、外貨で借入金をする方法があります

外貨で借り入れたらすぐに円転することにより円転額で為替予約をしたものと同じ効果となります

当月の利益に与える影響

当社は月末に為替評価替えをしています
売上、仕入など外貨建の計上は月初の為替レートを利用しています

このように計上レートに利用するレートを社内レートとよび、計上するときの為替レートが月初より変動しても、計上は社内レート(月初のレート)で計上します

もう一度、先の図を見て下さい

借入金1$したことによりエクスポージャーはゼロとなりました

しかし、これには売上に計上されていない「受注残」が含まれていますが、実際の会計上のデータではないので月末の評価替えの際にはこの分の為替評価にはカウントされません

つまり、上の図では月末に評価替えするのはグレーの部分のみです

グレーの部分、つまり会計上のデータにおいては2$のエクスポージャーが発生していることになります

9月末の為替レートが110円と1円円高になっている場合、2円の為替差益が発生することになります

この為替差益は損益計算書上「営業外収益」の区分に表示されます

 

エクスポージャーがゼロなら為替差損益は発生しないはずなのに・・

実は、ここで発生した額と同額が粗利益(売上-仕入)に影響します

 

翌月の10月の為替ポジションは次の通りとなります
(10月の社内レート110円)

売掛金は、9月末には受注残であったものが10月に出荷されたことにより売上計上されますが、10月の社内レートが110円のため110円が簿価になります

売掛金 /  売上 の仕訳になり、外貨建て資産には借方に売掛金が計上されます

債権、債務、借入金は9月より引き続き残っているものであり、9月末の評価替え110円が簿価となっています

 

このまま、10月末も為替レートが110円と変わらないとした場合には為替差損益は発生しません

正確には、営業外損益としての為替差損益は発生しません

ここで注意すべきことは、売上高の計上が交渉時(9月)には111円であったものが、10月の社内レートにより110円となっていることです

9月の取引成立時は次の通りだったとします

売上:2$(値決めレート1$=111円)
仕入:222円(円建て)
利益:  0円

(為替の影響を見るため利益はゼロとして考えます)

これが10月の売上計上時には

売上:2$(社内レート110円×2$=220円)
仕入:222円(円建て)
利益: ▲2円

よって、10月の売上総利益は▲2円となります

 

損益は

9月に「営業外収益」2円
10月に「売上総利益」▲2円

となります

9月と10月を累計すれば為替リスクゼロですが、月がまたがって相殺されます

また、損益の出る区分が「営業外収益」と「売上総利益」と異なるため
利益が賞与や給与の業績評価になっている場合には大問題です

財務担当者は、10月の利益のマイナスは9月の営業外収益と相殺されることをちゃんと報告しなければなりません

為替差損益が業績評価の対象になっている場合に
”為替差益が出ているからだまっておこう”なんていう考えはだめですよ

営業担当の方も、このあたりの会計事情がわからないと、せっかく頑張ったのに評価されないことになりますのでしっかりと理解しておきましょう

 

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