このような質問に答える 評価方法 にEVA(economic value added : 経済的付加価値) というものがあります。
定義
EVAは、資金提供者が期待するリターンを、差し引いた後の残余利益。
企業は事業に投資するために銀行や株主から資金を調達します。
その資金を資産に変え、その資産を利用して事業を運営していきます。
銀行や株主は一定の 見返りを求めて企業に出資をしますが、これが期待リターンであり企業側から見ると資本コストとなります。
この資本コストを資本を利用して生み出した利益から差し引いたものがEVAと呼ばれるものです。
図にすると次のようになります。
決算書において、損益計算書には銀行から調達する分に対しては支払利息が計上するされます。
しかし、株主から調達する分に対して費用は発生しません。
よって、株主から出資してもらった資金はただで使用できるかのごとく損益計算書表示します。
しかし、株主は投資の見返りを求めて企業へ出資をするので、その見返りがなければ資金を引き上げます。
その見返りの期待リターンが企業の資本コストであり、
この資本コストを毎期絶対額として利益から差し引き、
本来の企業が生み出した価値を評価することにより事業への投資価値を評価します。
たとえ会計上は利益が出ていても、
資本にかかるコストを上回る利益を生み出していなければ企業価値は棄損していることになりますので、
M&Aなどの場合には特に注意して価値を算出することが求められます。
どちらの企業を選びますか?
A社とB社で、共にNet Operating Profit After Tax (税引後営業利益: NOPAT) は1,000を得ました。
損益計算書ではこの部分しかわかりません。
しかし、A社は10,000を使用して1,000の利益を生み出しており、B社は100,000を使用して1,000の利益を生み出しています。
使用した投下資本に対するコスト(資本コスト)を考慮して生み出した利益を算出すると、
A社は500の利益を生み出していることに対し、B社は4,000の損失となり企業価値を棄損していることになります。
損益計算書だけでB社をM&Aしてしまったら大変なことになってしまいます。
資本コストの説明はこちら
事業価値を評価するときに使う資本コストはどのように算出するのか