事業報告をします。
前年のH事業における売上総利益は次の通りでした。
おしまい・・

これでは社長からお叱りを受けるのは目に見えていますね。
利益は商品別に前年と比較してどうだったのか?
商品別に数量の変動はどれくらいあったのか?単価変動は?
数量の変動が利益の増減に寄与した分はどれくらいか?単価変動が利益に影響した額はどれくらいか?
せめてこれくらいは答えなければなりません。
では情報を整理して報告書を作成してみましょう。
H事業の商品別の粗利益は次の通りでした。
表1

また商品ごとの数量と単価情報を追加します。
表2

これで情報は整いました。
では、2020年度の利益と2019年度の利益の増減額において、
数量が影響した額と、単価が影響した額をそれぞれ算出してみましょう。
ここでもうひとつ用意しておく情報として、商品別の利益単価が必要となります。
利益=(販売単価-仕入単価)×数量
ですので、先の単価表から①販売単価-②仕入単価、つまり利益単価の金額を算出しておきます。
表3

商品Aの利益増減要因分析
では商品Aについてみていきましょう。
商品Aの利益は2019年度は30,900,000円、2020年度は20,000,000円でした。
(表1より)
10,900,000円のマイナスです。。
数量は2019年度が103,000 (kg), 2020年度が50,000 (kg)ですので53,000 (kg)減少しました。(表2より)
利益単価は2019年度が300円、2020年度が400円と100円増加しました。
(表3より)
ここで次の図を描いてみましょう。

赤の□の面積が当期(2020年度)の利益額となります。
当期数量(50,000kg)×当期単価(400円)=20,000,000円
青の□の面積が前期(2019年度)の利益額となります。
前期数量(103,000kg) ×前期単価(300円)=30,900,000円
数量減少による面積(利益)の減少額と単価の増加による面積(利益)の増加額の合計が、利益の増減額となります。
計算してみると次のようになります。

数量減少による面積(利益)の減少額は
(当期数量:50,000kg-前期数量:103,000kg ) ×前期単価:300円=▲15,900,000円・・①
利益単価増加による面積(利益)の増加額は
(当期単価:400円-前期単価:300円)×当期数量:50,000kg=5,000,000円・・②
利益の増減額は
①+②=▲10,900,000円となり、表1の金額と一致していることがわかります。
商品Bの利益増減要因分析
では商品Bについてもみていきましょう。
商品Bの利益は2019年度は5,600,000円、2020年度は14,700,000円でした。
(表1より)
9,100,000円と大幅に増加しています。
数量は2019年度が70,000 (kg), 2020年度が147,000 (kg)ですので77,000 (kg)増加しました。(表2より)
利益単価は2019年度が80円、2020年度が100円と20円増加しました。
(表3より)
ここで次の図を描いてみましょう。

赤の□の面積が当期(2020年度)の利益額となります。
当期数量(147,000kg)×当期単価(100円)=14,700,000円
青の□の面積が前期(2019年度)の利益額となります。
前期数量(70,000kg) ×前期単価(80円)=5,600,000円
数量増加による面積(利益)の増加額と単価の増加による面積(利益)の増加額の合計が、利益の増減額となります。
計算してみると次のようになります。

数量増加による面積(利益)の増加額は
(当期数量:147,000kg-前期数量:70,000kg ) ×前期単価:80円=6,160,000円・・①
利益単価増加による面積(利益)の増加額は
(当期単価:100円-前期単価:80円)×当期数量:147,000kg=2,940,000円・・②
利益の増減額は
①+②=9,100,000円となり、表1の金額と一致していることがわかります。
通常は、単価を下げて数量を多く販売するか、数量が下がるのを覚悟で単価を上げるかの選択になり、単価と数量は反比例の関係にあるかと思います。
単価も数量も増加した商品はどんな理由があるのかさらに分析が必要です。
商品Cと商品Dの利益増減要因分析
商品Cと商品Dについても分析図を示しておきますので確認してみて下さい。
商品C

商品D

粗利益の増減はなくても、分解してみると数量の増減と単価の増減がありますのでそれぞれの増減要因を確認しておく必要があります。