社会保険料について、どれくらい給与から徴収されているのかまとめてみました。(2020年度)
医療保険は会社員が加入する組合健保(主に大企業)、公務員の共済組合、 中小企業の社員が入る全国健康保険協会(協会けんぽ)、そして自営業者らの国民健康保険に大きく分かれます。
このうち、主に中小企業が属する「協会けんぽ」について述べてみます。
保険料の決まり方
保険料は個人の給与額(通勤費・残業手当含む)および賞与額を基に算出されます。
給与は、標準報酬月額という基準を50段階(厚生年金保険は30段階)に設定して、そのどれかにあてはめることで、保険料の計算をやりやすくしています。
4・5・6月の3カ月の給与の平均をとって、標準報酬月額を毎年改定します。
賞与は、支給された賞与額に保険乗率(給与と同じ)を乗じて算出されます。
標準報酬月額(または賞与額)×保険乗率で求められた金額を、個人と会社(法定福利費)が折半で負担します。
実務的には、それぞれの社員の給与額を次の保険料算定表で照らし合わせて算定します。
2020年度の保険料 (東京都)
健康保険料
標準報酬月額 × 9.87% → 会社と個人が折半(4.935%)
地域ごとに異なります。 全国健保保険協会(協会けんぽ)
厚生年金保険料
標準報酬月額 × 18.3% → 会社と個人が折半(9.15%)
2017年9月を最後に引上げが終了し、厚生年金保険料率は18.3%で固定。
介護保険料
標準報酬月額 × 1.79% → 会社と個人が折半(0.895%)
以上より、保険料総額は報酬の29.96%となり、これを個人と会社が折半して負担します。
よって、個人の給与(または賞与)から14.98%が保険料として徴収されることになります。
1.保険料の見通しについて
今後の保険料値上がりの見通し
まず、過去10年間の保険料の推移についてまとめてみました。
①. 健康保険料について
健康保険料は地域によって異なり、それぞれの地域にて自主的に決定されます。
(東京都の場合は10年前と比較して増加はしておりません。)
これがどのように上昇もしくは下降するのか、というものに関し指針等はなく、自主的に組合会で決定するとのことです。
②.厚生年金保険について
厚生年金保険料は、段階的に引き上げられ2017年度に18.3%となり打ち止めとなっています。
ただ、厚生年金の標準報酬等級が1つ加えられ、現在620千円である最高等級の上にもう1つ等級ができるという情報があります。
③. 介護保険料について
介護保険料は第2号被保険者(40歳以上64歳まで)が支払います。
介護保険料は、2017年度以前は、それぞれの組合の加入者の割合に応じて、それぞれの負担額が決められていましたが、2017年度よりそれぞれの組合の総報酬額の割合に応じて決められることになりました。
まず各健保、各共済、協会けんぽの第2号被保険者の年間の給与などの報酬(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の合計額 (総報酬額)を算出します。
その総報酬の割合に応じて、保険料を割り振っていきます。
総報酬割の導入は2017年度8月から始まり、2017年度は総額の3分の1、2018年度は2分の1、2019年度は4分の3が総報酬割となり、2020年度で全面導入されました。
これにより、相対的に報酬の高い大企業が加入する健保組合の負担額が増加し、中小企業が加入する協会けんぽの負担額が減少することになります。
2020年度はこれまで段階的に導入されてきた総報酬割が全面導入される年であるため、大企業の健保組合では得に負担額が増加することとなります。
協会けんぽの2020年度の保険率は1.79%に決まりました。(前年1.73%)
今後要介護が増額していけば、その負担率も上昇していくことになります。
これまでどれくらいのペースで介護保険料が上昇してきたのかを調べてみます。
介護保険料をプロットし、近似曲線を描いてを見てみると、
y=0.0003x+0.0147となっており、毎年0.03%づつ上昇していることがわかります。
これでいくと、2020年度は1.74%が推定値でしたが実際は1.79%と0.05%高い率となっています。
今後はこれくらいの上昇率で上昇していくのか心配なところです。
保険料値上げについてのまとめ
健康保険料:
地域ごとに決定されるが、東京都の場合これまでのところ上昇するという指針は出ていない。
厚生年金保険料:
2017年度まで段階的に引き上げてきたが、18.3%で打ち止め。今後は法改正がない限り上昇はない。(はず・・)
介護保険料:
毎年0.03%づつ上昇しており、今後要介護が増えてくるため引き続き上昇の可能性が大きい。(毎年0.03%~0.05%位づつ上昇か?)
介護保険料の増加において、現在ニュース等で話題となっています。
介護保険料は、2017年度以前は、それぞれの組合の加入者の割合に応じて、それぞれの負担額が決められていましたが、2017年度よりそれぞれの組合の総報酬額の割合に応じて決められることになりました。
理由は、
大企業が属する組合健保と中小企業が属する協会けんぽでは、加入者は協会けんぽの方が多いため、保険料の負担額は協会けんぽの方が多くなっていました。
しかし、報酬額で比較すると大企業が属する組合健保の方が大きいため、報酬に対する保険料の比率が協会けんぽでは不利になっていました。
そのため、その不公平感をなくすため、介護医療費の負担方法を加入者割から総報酬割に変更することになりました。
2017年度より加入者割から総報酬割に変更になり、これまで段階的に移行する経過措置が取られてきましたが、2020年度に経過措置が解除され満額が総報酬割となります。
よって、相対的に報酬額の高い大企業が加入する組合健保では、介護保険料が高くなる傾向があります。
協会けんぽは、中小企業が所属しているため相対的に報酬額が低く、介護保険料の増加もそれほど大きくありません。(1.73%から1.79%へ0.06%上昇)
とはいえ、今後要介護が増えてくるため、介護医療費の総額が上昇すればその負担額も大きくなってきます。
スポンサーリンク
